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Essay:Dial M

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vol.21 2003

Jan 2003

今年は走ってみようと想ってるんですよ。
いろいろと。
このところノンビリしていたから。
いま、かなりヤル気になってる。
映画2本と、テレビのスペシャル番組と、イベントとゲームと本の出版と…。
やるコト、いっぱいだあ。
ちょっとね、去年あたりはヘンな臆病癖ついちゃって、先の心配しすぎた。
周りについてくるヒトたちのこと、考えすぎちゃって。
今年は、走る。
後先のこと、あまり気にせず。

まずは新潟でささやかなイベント。
『白痴』の撮影以来、ひさしぶりの新潟。
といってもチョコチョコでかけてはいたのだけど。
昨年末も、短編の撮影したし・・・。
今回は、いきなり学生時代の8mmの上映と、映画のワークショップでした。
(ゴメン、もう終わった)
ワークショップはね、いつかやってみたいと想っていた。
映画のこと、ずっと好きでやってきたという自負はあるのだけど、映画のことについ て、みんなあまり気付いてないこと、知らないこと、多いから。
映画のオモシロさ見逃している、と想ったワケです。
ストーリーや、音楽や、俳優や、それぞれバラバラにして楽しむことはあっても、それらが互いにどう関わって、 どんな具合にできてるかっていういわば“演出”という ことが見えてない。
それが見えてくると、映画ってホント-にオモシロイんですよ。
ぼくはヴィジュアリストっていっても、監督だし演出家だから、そこのところが本業 で、そのオモシロサを伝えたいのだけど。
で、初体験の演出のワークショップ。
ショットと、モンタージュと、サウンドについて。
まあ、今回は体験レッスンはなし。
予告編みたいなモノですね。

そうそう、そういえば去年は目標どおり、100本映画観た。映画館で。
ぴったり100本。
100本目は『ギャング・オブ・ニューヨーク』で、混んでて立ち見だった。
ひさしぶりだな、立ち見も。
100本記念だから、いいか。
それで去年、印象に残ったのは何かな。
すぐ浮かぶのは『マルホランド・ドライブ』、なんといっても!
『ピアニスト』はアプローチが昔のベルイマンを彷彿とさせた。イザベル・ユペール すごい。ゴダールの『愛の世紀』は3回観たでしょう。『愛しのローズマリー』はつ いDVDも買ってしまった。『チョコレート』のビターな味も忘れ難い。7時間観続 けた『クレマスター』シリーズも快感だった。『ヴェルクマイスター・ハーモニー』 の孤高さ。『ウェイキング・ライフ』の酔い具合。アルトマンの職人芸を堪能した 『ゴスフォード・パーク』。そして、スタン・ブラッケージの新作がまとめて観られ たこと。
アジアでは『マッリの種』のシンプルな映像美。『カンダハール』の渇き。『鬼が来 た!』の押しの強さ。ゴメン、日本映画入ってないや。
ホラーでは、健在ぶりを示したアルジェントの『スリープレス』とカーペンターの 『ゴースト・オブ・マーズ』。そういえばホラーじゃないけどカート・ラッセルがプ レスリーになって歌いまくる『スコーピオン』のエンド・クレジット最高! 彼が若 き頃プレスリ-を演じていた映画は、やっぱりカーペンター監督だったっけ。『ア ザーズ』は品良くできていた秀作。アントニオ・バンデラスがキリストの骨を発見し ちゃう元諜報員の司祭を演じる『抹殺者』なんてのもあったな。あえて題名を書かな い超話題作2本で活躍していたクリストファ・リーさま。
もっとゲテモノでは人間解剖フェチのヒロインが活躍するドイツ映画『アナトミー』 と黒人ラップ・ホラー『BONES』が拾い物か。『トリプルX』もある種、ゲテモ ノ。アルジェントの娘出ていたし。『サイン』の観客をなめたサイテーぶり。お笑い ではジョン・クリーズがひさしぶりに“らしかった”『ラット・レース』。これはか つての『おかしなおかしなおかしな世界』をアレンジした正統コメディでしたっけ。 このへんになってくると、すぐには思い出せない。あれ、スピルバーグもあったっけ ? 『プライベート・ライアン』から後、不調ですね。

生まれてから、どのくらい映画観たのかなあ。
映画館へ行ったものは記録つけてるんですけどね。全部数えたことないからなあ。
でも仮に20年で100本ずつ観たとしてもせいぜい2千本。
たいしたこと、ないな。
すぐに思い出せるものもあれば、題名を聞けばだいたい映像が浮かぶものもある。
どうしてもどんな映画だったか思い出せないものも、たまにある。
去年で言えば、(リストを眺めて)『イン・ザ・ベッドルーム』。これ、どんな感じ だっけ。シシー・スペイセクが熱演していたと想うのだけど、予告編の印象が強くて (何度も観たからね)、本編をあまり覚えてないや。申し訳ないけど。
どうせ作るなら、記憶に残ってもらえる映画を作りたいな。
良くも、悪くも。
いい映画って、その人にとってタイミングなんですよね。
ある年齢で、ちょうどいい映画ってある。
その年に出会ったから良かったって。
できれば、そんな映画には若い頃に出会っておきたい。
後で想い返して、--もしくは再会して--いい映画だったな、と実感できるから。
そのときの時間も含めて、感動できるから。
ぼくの映画はできることなら、いつもちょっと背伸びしていたい。
少し、わからないところがあるぐらいがいい。
後で知ったとき、わかる年齢になって、わかるときが来たら、感動できるから。
例えば『白痴』なんかは、3回か4回め観たときが、一番面白いと想う。
実際、よく言われる。
自分でも、そういう風にできていると想う。
それってわがままですか?
でも今年作るとしたら、1回めから面白く、がテーマ。
そして「えっ」と驚く嬉しい意外性も含めて、いかにも手塚眞らしく。

ところでハナシ変わるけど、助手を探しています。
助手、秘書、書生、弟子、付き人、なんといってもいいのだけど・・・
マネージメントの手伝いや、現場のサポートなんですけど。
1年か2年の短期アルバイト。
理想を言うとね、献身的で、車が運転できて、英語が話せて、クリエイティブなことに興味があるヒト。
もしくは、アーティストのためなら何でもやります、って覚悟できるヒト。
そして、不可思議な人生を誠実に歩みたい方。
1年や2年、他人のために身を捧げてもまだ後がある、って年齢がベストですね。
生きる時間、しばらくお借りするので。
お借りするからには、おもしろヘンな経験、色々させますが。
もちろん、一緒に映画だって作りますよ!
自分もアーティスト目指しているとか、役者めざしてるとか、モデルやってみたいと か、そういうヒトでもアリです。いろいろ教えてあげます。(チャンスですね)
そんな奇特なヒトがおりましたら、ぜひご連絡を。
手塚は待っています。

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