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Essay:Me Strange L

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Alice

もう生まれながらにして映像が好きだったんです。 だから、あまり本を読まなかった。
まったくというより、決まった本ばかり繰り返し読む方。
子供の頃に読んだ『ムーミン』と『不思議な国のアリス』が原点でしょうか。
『ムーミン』は隣のアニメ会社でテレビシリーズが作られていて、その製作現場に遊びに行ったりしていたんですが、 原作の方を何度も読んでいたので、イメージが違うと想って。
アリスの方はディズニーのアニメが楽しかった。
家の書庫に芥川龍之介が翻訳を手掛け、没後に菊池寛が引き継いだというとても珍しい一冊があって、かなり意訳なんですが、これが面白かった。
主人公が旅をしながら不思議な人々に出会ってゆくという設定は、 ぼくの映画にあるパターンで、アリスがルーツなのかもしれません。
狂った帽子屋が登場する場面が一番好きですね。
不条理の論理と逆説の数々が痛快。原作者が数学者であったことがよくわかります。
やっぱりぼくも逆説的な人間です。 だから座右の言葉は「逆もまた眞」。


Bat

何か飼っていますか?と尋ねられて「コウモリ」と答えると、眉をひそめられます。でも人懐っこいし、可愛いですよ。
日本の空に飛んでいるコウモリは飼えません。
ウチにいるのはアフリカ生まれのエジプシャン・ルーセットというフルーツバット。
もちろんバナナやリンゴなどのフルーツを食べてます。
いまは2匹いて、フランチェスカとセドリックって名前。
羽を広げると40センチくらいかな。ときどき部屋の中を飛ばしています。
コウモリってとても個性的でしょう? 空を飛んだり逆さまになっていたり。
ケモノでもない鳥でもないって昔話で苛められるけど、本当は哺乳類。しかもネズミよりも猿に近いみたい。
世界中に1000種類(あらゆる哺乳類の1/4)もいて、生態系には大事な種なんですよ。
でもまだ研究も足りなくて、平均寿命もわからない。なんでも30年以上生きたのもいたとか。
あらゆる生物の中で例外的に老化が遅いんですって。
よくわからなくて不思議だから魅力的でもあります。
ちなみにコウモリ・グッズもコレクションしています。


Bergman

どんな映画が好き? と聞かれると、答に窮してしまう。けっこう何でも好き。
一番好きな監督は? っていう質問にも答えにくい。でも、ベルイマンはやっぱりかなり好き。
映像の光と陰。人を見る冷徹で優しいまなざし。ユング的な神秘主義。すごく影響を受けた(と想っています)。
本人は「映画の面白さを味わいつくした」と言って引退してしまったけれど、たくさんの貴重な作品を残してくれた。
特に好きなのは『ペルソナ』や『狼の時刻』かな。観念的、難解って言われるけど、ぼくにはすごくストレートな映画。理想的です。
他に好きな監督はヒッチコック、フェリーニ、衣笠貞之助、黒澤明、アラン・レネ、ゴダール、カサベテス、キューブリック、 マイケル・パウエル、ケン・ラッセル、ポランスキー、ヘルツォーク、D.シュミット、デパルマ、スピルバーグ、クロネンバーグ、 D.リンチ、ティム・バートン、、、。


Chaplin

でも最初に知った映画作家ということなら、実はチャップリン。
ちょうど小学生の頃、代表作のリバイバルがあって、幸運なことにほとんど劇場で観ることができた。
たしかひとりで映画館に行って観た最初じゃなかったかな。
子供でもわかる大人の映画を作った数少ないひとりだったと想う。
文字通りのスターで、ひとりで脚本、監督、主演、音楽などをこなしていた。
古いファンは意見が分れるところだけれど、ぼくは『独裁者』がすごく好きでした。
最後にチャップリンは初めて映画の中で言葉をしゃべり、それがとても泣かせる。
その演説が理屈っぽくてイヤだという人もいるけど、ぼくは子供だったから素直に感動しました。
実はとても涙っぽいんです。
いかにも泣かせる映画は好きじゃないけれど、コメディの中で泣かされるのには弱いです。


Cinema

ヴィジュアリストと名乗っているから、何でもやりたいんですねって言われるけれど、本当は映画がやりたいだけなんです。
映画が好きなんです。好きすぎて、喧嘩していた時期もある。
でもいまは素直に「好きだ」って言えます。
ぼくが一番生き生きしているのは、映画を作っている時。もっとも健康的でいられる。
もちろん映画は観るのも好き。両親も映画ファンだったから、子供の頃からいろいろ観ることができて幸せでした。


Comics

漫画とアニメは父の仕事だったし家業なものだから、もっとも身近でありふれていて、そんなに食指が働かなかったんです。
八百屋にとっての野菜みたいなモノで。
いまでもあまり魅力的とは感じないから、商業アニメは観ないんです。
でも漫画はずっと読んでました。
吾妻ひでおとかモンキー・パンチとか、ちょっとアダルトな漫画が好きだったかな。
少女漫画もたまに読んでました。わたなべまさことか川原泉とか高野文子とか。
岡田史子、岡野玲子、岡崎京子がお気に入りでした。
しかし、まさかよりにもよって漫画家と結婚するとは想ってもみませんでしたよ。


Champaine

シャンパンさえあれば、とりあえず幸せ。家でゆっくり呑むのが好き。
仕事しながら呑むのも、美味しいんですよ。
最近、ヒッチコックが愛飲していたというボアゼルを少し手に入れたんだけれど、ちょっとボランジェに似た感じで、すっきり呑めた。
あまりお酒を呑まないと想われているのですが、なんでも呑みます。
ちょっと暑い午後、庭先でドライ・シェリーをちびちびやりながらボンヤリしてるのなんか、最高。
日本酒も好きです。たぶん最初に好きになったのは日本酒。もちろん辛口。ただし美味しい肴が必要なんですが。
だから日本酒は東京じゃ、呑みにくいかな。
あ、水割りは勘弁です。学生の時に無理に先輩に飲まされて、まずくて閉口したから。
だから飲むならストレートで。 二日酔いにならない程度に。


Dance

もともと現代アートに興味があったから、パフォーマンスとかコンテンポラリー・ダンスはよく観ています。
ピナ・バウシュは初来日の時に観て、やっぱり影響されました。彼女が作った映画にも。
『嘆きの皇太后』っていう映画で、好きな人は少ないかもしれないけれど。
80年代は他にもマギー・マランとか、ロバート・ウィルソンとか、ローリー・アンダーソンとか、 面白いパフォーマンス・ステージをずいぶん観て、好い刺激になりました。
日本だと勅使川原三郎さんや黒澤美香さんと親しくなれたし。
むかし勅使川さんに「どうすれば踊れるようになるんですか?」ってミもフタもないことを尋ねたら、
「基礎はなくても、異常な精神さえあれば」って答えてくれた・・・。
ぼくもいざとなれば踊るのだけれど、ダンスというより、壊れたロボットみたいになっちゃうん。
ぼくの身体の動きは細かいっていうか、ふつう人の2倍くらいの速さがあるので。


Dracura

子供の頃は本気で、吸血鬼が窓から入ってこないかな、なんて想像していたものでした。
クリストファ・リーの『吸血鬼ドラキュラ』をTVで観て以来、取り憑かれました。
ダンディでハンサムでクールで陰があって、ひたすらカッコ良かった。子供時代のヒーロー。
マントやコウモリに憧れたのもそのせいなのかな?
ドラキュラ映画は何でも観たけれど、やっぱりリーに適うドラキュラ俳優はいない。
最近は『スターウォーズ』でドゥーク伯爵を演じているけど、さすがのキャリアで、あの映画の中で唯一良かったな。
日本でドラキュラ俳優といえば、もちろん岸田森さん。テレビの『もんもんドラエティ』でご一緒できたのが、夢のようでした。
あまり話ができなかったのが今となっては悔やまれますが。
いつかぼくもドラキュラ映画を撮ってみたいと密かに考えているんです。
キャスティングのアイデアもあるのだけれど、実現するかな…。


Drive

特に車に興味はないのだけど、運転するのは好きなんです。3、4時間なら平気で運転を続けられる。
急いでなければ、渋滞や人混みもぜんぜん平気。
いつか宮古までドライブしたときは、片道7、8時間ひとりで運転したっけ。
免許を取る前は、友人たちにさんざん止められた。考えごとをするから、事故を起こすって。
でも実際はそんなことはなくて、運転中はアタマも別モードになるみたい。
危険なのは、疲れているときよりもお腹が空いているときかな。イライラして、運転が乱暴になる。
だから空腹のときはぼくにハンドルを握らせてはダメ。
ふだんも車に乗っています。自分のペースで行動できるから。
排気のことを考えると、ちょっと憂鬱になるけど。


Figures

ふつう男の子って、車とか飛行機なんかのプラモデルを作るけど、ぼくは子供の頃、歴史建築ばかり作っていた。
江戸城とか、平等院鳳凰堂とか、東照宮陽明門とか、出雲大社とか。
プラモデルだからって馬鹿にできない。 けっこう忠実で、石灯籠なんかも正確な位置についていたり。
だから奈良や京都にゆけば、有名な建築はだいたい間取りが立体的に把握できている。
次にハマッたのは、モンスターの人形。
アメリカのオーロラ社というメーカーがドラキュラだのキングコングだの、シリーズで出していて、全部持っていた。
元祖オタク。当時はオタクなんて言葉なかったけれど。
コウモリやネズミを大鍋でグツグツ煮ている魔女とか、ムチ打たれ中のノートルダムの鐘つき男とか、いまは発売できそうもないネタもたくさんあります。
いまでも人形は好き。食玩具もつい買ってしまう。だけどモンスターや恐龍はさすがにもういいかな。
最近は妖艶な女性のフィギュアばかりになりました。
ベティ・ペイジとかボンド・ガールみたいな。こればかりはムカシはなかったから。


Foxx

ぼくが一番影響を受けたのはジョン・フォックス、感性の理想もジョン・フォックス。
黄昏の庭園から未来都市へ。 クールなロマンスをシンプルな音でストイックに表現するモダン・アーティスト。
ニューウェーブ・ロックの原点、初期ULTRAVOX!のフロントマン。
70年代にJGバラードやフィリップKディックの世界をいち早くロックに取り込み、パンクにクラシカルな音色を融合させ、 テクノでリバプール・サウンドからチャーチ・ミュージックまでめざす静かな男。
一貫して自分のスタイルにこだわり続けるテクノ・マスター。
やっぱりぼくはこの人の音が好き。 曲も、声も。
自分を見失いそうな時は、もれなく聴きます。すぐに自分が取り戻せるから。

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