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Vol.15 残暑見舞です
Aug 2002
この夏はね、ひさしぶりに北海道に行きました。
ムカシは毎年行っていたのに、最近ご無沙汰だったから。
まだ行ったことがなかったど真中、大雪山に踏み込んだのだけど、真夏とはいえ、寒いサムい。
ちょうど行った時に初雪が降って、山の上では年中雪が溶けないって、夏スキーができるんですね。
そこまで登ったわけではないけれど、手がかじかんじゃった。
大雪山て、高さはそうでもないけれど、広さは日本一で、神奈川県がすっぽり入るほどの山なんですよ。
まだ荒らされていない、って表現は適切かどうかわからないけど、神様がしっかり住んでいる山だなあ。
当然、付近川沿いにはアイヌの集落があって、いくつか回ったけれど、もちろんほとんどは観光用に店を出したりして細々と暮らしている。
何か珍しいモノでもと、やや期待していたのだけど、やっぱり彼らも商売だから、売れるモノしか店に出していないやね。クマの彫り物とか。あれって、かつてはどこの家でも玄関先に飾ってあったりして、どうしてなんでしょう。買う人、やっぱりいるのかな。
けっきょくすっきりとしたデザインのイク・パスイを手に入れました。これは火の神様にお酒を捧げたりする時に使う木彫りのスティック。ふだんは魔除けにもなるし。
キタキツネくん
アイヌ踊りを少し観たけれど、観光用におざなりなところもありつつ、一応形はきちんとやって見せていて、日本や大陸の古かったり新しかったりの色んな様式がちらほら垣間見えて、興味深かった。
でもユーカラにしても昔ながらの古典をきちんと伝える人がほぼ絶えてしまった様子で、人は残っても民族は滅びた、という印象ですね。誰のせいだと突っ込むつもりはありませんが、民族の絶滅に立ち会うというのも妙な気分ですよ。
でもホントに滅んでいるの?
どこかにひっそりと隠れていない?
大雪山の中とかに。雪男みたいに。
ところでぼく個人の興味は、アイヌよりもアイヌ以前で、いまではコロポックルと呼ばれる民族。
学生の頃、初めて札幌に訪れた時、「コロポックルはどこにいますか?」と地元の人に尋ねて、笑われたのを思い出しましたよ。
フキの葉の下に住む妖精ということにされて、やはり木彫りの人形で売られてますが、恐らく先住民族の姿の名残りなのでしょう。
こちらこそ絶滅して久しく、というよりどんな民族だったかすらわからない。
誰が滅ぼしてしまったかもね…。
タブーというわけじゃないだろうけど、たくさんの伝説が残っているとは言い難く、むしろ触れられずにいる、という感じで、謎のまま。表立ってあれこれ推測されることは少ない。証拠となるものもないし。
アイヌに原日本人の血があるというのなら、コロポックルはさらに血が濃いと想 う。
同様に沖縄の人々がキムジナーと呼ぶ、こちらはガジュマルの木に住むという妖精がいて、これもコロポックルの遠縁の親戚ではないかと勝手に推測するのだけど、やっぱり伝説の中だけに残る民族の影がある。
共に小人族と称され、背格好が小さいというところも似ているし。
アイヌと沖縄の人が近い血を感じるというのならば、コロポックルとキムジナーこそがさらに先住の原日本民族の影ではあるまいか?
そこに日本の黎明の姿が隠されている。
というのがぼくのかねてよりのテーマですが、いまのところそれを作品にするつもりはアリません。
ぼくがアイヌ集落をうろついている時、ウチのマネー嬢は偶然にも沖縄に行っていたようですが…。
大雪山の“銀河の滝”