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Vol.8 総決算の季節

Dec 2001
毎月エッセイのはずだったのにな…。  
マ、いいか。  
最近、細かいことを気にしないように努めてます。  
今年は自分の映画の企画を進めながら、来るハナシ来るハナシ、マ、いっか、ってやっ ていたら、
ホントに節操ない仕事ぶりになってしまいました。  
競技大会開会式の演出に始まって、フラメンコにハマり、朗読ライブをやり、イタリア・ ファッションのレポーター、最新ロボットの紹介、落語のアドバイザー、テルミンのCD プロデュースと、もお何だかワカラナイ。さすがヴィジュアリスト(?)。   
自分でも楽しんでますヨ。  
肝心の作品は… となると、『白痴』をDVD用にバージョン・アップしたり、成長する 8ミリ映画『惑星TEトLA』の続きを撮ったりと、もっぱら過去の作品の手直しに費やす。
今も、オリジナル・ビデオ『妖怪天国』とその続編『妖怪天国ゴースト・ヒーロー』の 2本をDVD用に修正しているトコロ。
ホントはすっかりリメイクしたいと想うんだけれど、なかなかそれは無理。  
『白痴』だって、いま改めて観るともっとこうしたい、ここはこう変えたいって、いっ ぱい出てきちゃう。
そんなこと言うとスタッフや出演者に悪いけど。   
そういえば久しぶりに『白痴』のサントラをカーステで聞いていて、いい音楽だなあ、 こんな音楽を使って映画つくったらさぞ面白いだろうな、あ、『白痴』がそうかって、ボケちゃったもの。
(岡野玲子がそれを聞いて呆れて、麗香ちゃんに「しょーがない監督だよね」  ってコボしてました)
でもね、実はいままでの映画だって、もしかしたらその前の作品のリメイクとはいわな くても、似たところから出来上がってるものかもしれない。     

新しい映画は… って皆さんに聞かれるのですが、いま企画準備中としか答えられない。
もちろん、いつも映画撮りたいって想ってるんですけどね。   
かつて黒澤明監督が、2年続けて新作を発表したとき、マスコミの人が「ペースが早い ですね」って尋ねると、黒澤さん「いつも続けて撮りたいんだよ。でもなかなか製作が決まらなくて、時間がかかってしまうんだ」   
ハイ、そうなんです。映画の場合、そんなにスムーズに企画は進みませんです。  
言い訳みたいですが、おカネかかるし、上映を決めたりするのも厄介なんですよ。  
黒澤監督でさえ、なかなか撮れなかったんだからね。  
だから長編は、来年におあずけ。  
年末も押し迫ったこんな季節に、やっと1本、短編ができます。  
以前、予告した『2001』という映画。  
予告どおり、ホントに作ってしまった。  
スタッフも詳細を知らないうちに、パ・パッと。  
2001年のうちに、1本は新作映画やりたかったから。  
でもこれは実験的なアニメーションで、お話はアリません。  
"2001年"をシンプルにイメージしたら、こんな映像になったという、感じの映画 かな。
ストイックでミニマルな、コピーを使った動きの実験です。   
個人映画だから、どこで上映するかまったく決まってないけど。  
麗香ちゃんがモデルとして映っているのだけど、映画の完成が彼女の誕生日つまり12 月25日に重なるという偶然。
もちろんクリスマス!   
小さな映画だけれど、なんかメデタイじゃない?
 

この年末は、もうひとつのささやかな騒動がありました。  
それは、いつも連載をしていた『プリンツ21』という雑誌で、特集が組まれることに なって、
自分の過去20年間の活動をそっくり回顧したという…。   
学生のころの作品歴から始まって、映画以外の活動、イベントやプロデュースしたモノ なんかを片っ端から挙げていったら、まーホントにイロイロある。   
いやあ、やっぱり節操ないワタシ。と、笑えマス。  
個々の作品の紹介というより、ヴィジュアリスト大全集って感じの特集です。  
撮り下ろしポートレートも充実(笑)。  
それ、丸尾真弓さんっていう若きカメラマンが撮ってくれた。  
実は手塚、写真のモデルってスゴイ苦手。  
よく雑誌なんかの取材で撮られるのだけれど、もう20年も撮られまくっているはずな のに、いまだに慣れない。   
どんなにヴェテラン・著名・実力写真家が登場しても、緊張しちゃってるのか、良くな いんだよね、顔写真。
(唯一、坂口綱男さんの撮ったポートレートだけは気に入っているけど)

だけど彼女は別。  
丸尾さんの場合、そんな緊張しない。  ので、よく彼女に撮ってもらっている。  
だからちょっと珍しい写真になってるかも。  
ものすごくふだんの手塚らしいけど、ふだんとチガウっていう。

それにしても、いきなり20年分を短期間に思い返すっていうのも、やってみるとスゴ イよ。
自分の人生はいったい何だったんだろう、という勢いだからね。
自分では、まだホンの入口ってつもりなんだけど。  
ずいぶん豪勢な入口だよなー。  
と自分で呆れたり。  
もう、過去総決算ですよ。  
過去があるなら未来もある、ということで、来年以降の計画も考えましたワタシ。  
とりあえず「内容まで考えている作りたい映画」をズラッと挙げてみたら、長編短編併 せて数十本もあって。
ひゃー、全部作るのにどれだけかかるのだろう。   
でも数十年後に再び回顧すると、きっとほとんどやってしまっているのだよね。  
いままでも、そうだったから。  
予定通りの自分の人生、ってどんなモノだろう。  
もちろん、細かなことは予定通りには決していかない。  
毎日、想ったように行かず、調子狂ってしまう。  
だけど20年という括り方で想い返してみたら、実は案外、考えた通りにやってきてる って分かった。   
例えば『白痴』は製作に10年かかったけれども、それだって自分で決めてた時間だし、 難しい企画といいながら完成して、一般劇場公開できている。
海外の伝統ある映画祭に出品したい、ヨーロッパで劇場上映したい、いろいろなバージョンを作りたい、
という夢は ひとつずつ叶っているじゃないですか。   
恐らく、透明だけど強い波紋を静かに広げていってるはず。  
じゃあずっと『白痴』みたいなアートな路線で行くかと想ったら大きな誤解で、これか らはもっとエンタ-テインメントな映画も作るワケです。   
でもそれすら予定通り。  
小規模な映画があったり、メジャー大作があったり。  
予定通り。  
あ。なんか、コワイ。  
その通りに進むのって。  
毎日、意外な方向へ向かう偶然の積み重なりが、やがて求めている大きな流れを自然に作り出していることが分かる。
それが意志の力ってヤツだろうか。  
そして個人の意志と世界の意志のヒミツの関係なのだろうか。    

今年、作品が少なかった分、2002年は、作りますよ。

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