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Essay:Dial M

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Vol.5 だんだんオンダンカ?

Jul 2001
毎日、毎日、地獄のような日々なのです。  
それは、出かけるときはいつも車なのですが、カーエアコンが壊れているからです。  
暑い。  
ただでさえこの猛暑に、エアコンなしの車に乗ったことはありますか?  
炎天下より暑いのですよ。  
焼けた鉄板に包まれているんですからね。  
家から事務所まで、余裕見て1時間。地獄の旅ですだ。  
車から降りると、汗がシャツからザアザア流れ落ちる。  
若い頃はね、あまり汗かかないヒトでした。
いまよりやせてたってこともあるけれど、真夏でも長袖の上着は欠かせなかった。
そうそう、夏に黒いマント着て学校行ってましたよ。それもビニール製のマント。「怪人」とウワサされてました。
それが30を越えて、体質変わりましたね。いまや汗かき症です。怪人じゃなくて汗人。
先日、テレビの番組でロボットの真似をしたんですが、狭いスタジオでライトもガンガン当たっていたものだから、ロボットのくせに汗だく(笑)。
しかも気候が変わりましたよね。温度だけじゃなくて、湿度が上がった。蒸し暑い。熱帯みたいに。  
子供の頃の日本の夏はこうじゃなかったと記憶するんですけど。  
恐らくカーエアコンが壊れたのは、地球温暖化を防止するため乗るなってことなんでしょうけどね。
温暖化について考えたければ、カーエアコン付けずに夏に車に乗るといいですよ。もっとも、考える気力も失いますが。
ウチの車、もうそろそろいい年なんです。乗って11年ぐらい。距離は9万キロほど。
買い替え時なんですね。だからあちこちボロボロになっても、修理するのをためらってます。
というより修理屋に出したら、「コレ直すより新車買った方がいいですよ」って諭されてしまった。
まあたしかにそうでしょうね。高速とか走っていて突如壊れてしまっても困るし。
なんて思っていたら、この夏の最高気温、ていう日にエアコンがいかれたわけです。
もう熱風しか出てこない。泣きたくなりますね。泣いても涙なんだか汗なんだか分からない。  
不快指数が個人的に最高値になった日、あえて『パール・ハーバー』を観にゆきました。
しかも前の日、十分な睡眠も取れてないときてる。朝からぐったりの日に、なぜあえて『パ ール・ハーバー』なのか。
悪評高く、3時間もある。たまたま試写で観たという友人たちは「今年サイテー」「観る必要なし」と口を揃える。
新聞の書評も実に厳しかった。そんな映画、そうとう覚悟しなきゃ観にゆけないじゃないですか。
もちろん誰も一緒には行ってくれない。ぼくのまわりには「観たい」というヒトはいないのですよ。
マネージャーのNさまは、火事場のようなあの車すら我慢して乗ってくれる のですが、
さすがに『パール・ハーバー』だけは絶対に観ませんと冷たく言い放った。
きっと映画館はアベックばっかでしょう。そこへひとりで乗り込む。
どうせ朝から不快なのだから、こうなったらゆくところまでいってしまおうという、逆説的な心理が働いて、映画の内容よりもどんな気分に浸れるのか、そちらの方を期待して 観たんですね。人体実験みたいなモノで。
しかし、そこまで覚悟してみると、案外、それほど辛くもない。
途中、疲れて眠るかと思いきや、まあなんとか3時間、観ていられましたよ。  
もちろんシンプルな娯楽映画で3時間は長い。それも必要がある長さじゃなくて、描写 がクドくてそれが長い。
戦闘場面のクドサはまだ見てられますが、ラブシーンのクドさは やっぱり辛い。
これテンポ良く見せれば、2時間で見せられる内容ですよ。テレビドラマ の演出を映画館で見せられている感じ。
物語のあざとさは語るまでもなく、日本軍の描写についても腹が立つというより恥ずか しい。
どうせならもっと徹底して、悪の権化みたいに描けば良かったのに。
『猿の惑星』ぐ らいに見せてもいいかも。どうせイエロー・モンキーだったんだし。  
でもまあ、内容の善し悪しを別にすれば、よく作りましたよ、こんなの。  
真珠湾攻撃の場面は技術的には相当すごいんじゃないですか? 
正直、あきれちゃった。 ほとんど『スターウォーズ』。
もちろん、ルーカスの方がゼロ戦の空中戦をモデルにしたんだけれども。
少なくとも『スターウォーズ・エピソード1』よりは見応えがあった。まあ どちらもうんざりしたけれど。
結論、エアコンなしの車に30分乗っているよりは、3時間のクドイ映画の方がまし。
少なくとも、映画館はエアコンがきいている。    

以前スピルバーグが真珠湾攻撃を茶化した『1941』という大作を作って、世界中で コケたけれど、ぼくはけっこう好きでしたね。
あの映画ではアメリカ軍も日本軍もバカし かいなくて、でもそのバカぶりがスペクタクルだった。
『パール・ハーバー』には似た描写をシリアスにやってて、これってパロディ映画のパロディ? って思っちゃいました。
なぜ かダン・エイクロイドが出演してるんですね。『1941』を覚えていると、それだけで 笑っちゃうんですけど。
ではスピルバーグの『A.I.』はどうでしたかって聞かれると、とても複雑な心境。
学生の頃『未知との遭遇』を観て、とても衝撃でした。というのは観たこともないものを見せられたというより、知っていたことをはじめて見せてもらえた映画って感じで、とても 共感を覚えたんですね。
それでスピルバーグに当てた手紙のつもりで、『UNK』っていう8mmの映画を作った。
スピルバーグも、学生の頃『FIRELIGHT』っていうUFOを扱った8mmの映画 を作って、自主上映したそうですが。
ぼくの『UNK』は、最後に真っ白な宇宙人の街が登場して、そこで少女が宇宙人に出会い、心の交流を果たせるって内容で、映画の後のクレジットに「to Steve」って入れたんですね。
だから『A.I.』の宇宙人やその街を観たときも、「これ知ってる」って思った。
しか も映画の最後にはご丁寧に「to Stanley Kubric」って出る。
だからスピルバーグ の気持ち、なんとなく分かるような。
大作商業映画だけれど、私的な映画だよね、コレ。
でもこれ作ってスピルバーグにもキューブリックにも、キャリアの上であまりプラスにならなかったかもしれない。
まあ、そういう映画もありますよ。
『A.I.』で衝撃があるとすれば、ロボット少年じゃなくて、冒頭でささやかに説明されれる、
地球温暖化によって水没してしまった大都市の描写かもしれない。
つまりそこは SFですらない。
ただ切実な近未来の事実かも。

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