7月7日(火)

巨大スタジオに暗雲忍び寄る


今日は余裕の手塚監督。撮影前に川村かおりさんと仲良く談笑。


12:00 セット準備
13:00 編集打ち合わせ
16:30 ラッシュ
19:00 S#34一部撮影

今日はセット移動と準備。いよいよ明日から、この映画のもう一つのメイン舞台、 メディアステーションの“TVスタジオ”のお芝居を撮影する。
もともと、往年のハリウッドのミュージカルシーンをイメージした番組を収録する スタジオ。しかしそんな巨大なスタジオは日本にはなく、一つのスタジオを舞台向 きとカメラ向きに分けて撮影する。舞台の踊りのシーンは6月下旬に撮影済み。今 回はそれを撮影している、TVカメラサイドの撮影。
この日まで連日撮影終了後に、監督・撮影・照明・助監督で、7日分の分量を3日 で撮り上げる方法論の会議を開いてきた。監督は今までの経験上、カメラアングル をまとめて、照明もセッティング替えのない範囲に芝居をまとめることで、時間短 縮を提案する。しかし、今までもその方法論で現場を進めてきたが、撮影・照明と もに、“手塚イメージ”を再現するための細かな修正が多く、時間短縮には思った ほどの効果が出なかった。しかも、今度のセットは、規模とカットの分量が違いす ぎる。登場人物も一日100人近い。橋本麗香さん扮する銀河は、シーンが変るごと に2時間半近く衣裳・メイク替えに時間がかかる。「撮影しながら考えます」とい う監督の言葉。結論のでないまま、準備が進む。
東映撮影所の一番大きなスタジオ一杯に組んだセットには、照明を仕込むだけで1 日がかり。 照明の安河内さんは前にも書いたように、蛍光灯ライティングを日本で広めた人。 蛍光灯ライトの優秀性の説明は、今後書かれるかもしれない「安河内式、蛍光灯ラ イティング基礎講座」にお願いするとして、物理的に見ているかぎり、光量の大き い蛍光灯ライトは重い!しかも、機材の分量も半端ではない。製作・演出部も一緒 になって、東映の10スタから7スタに照明機材を移動。ばらしから移動まで、3 時間。それから照明部は黙々とセッティング。
一方、監督は録音部・助監督と共に東中野の能の会“梅若会”へ。そこでは映画の 中で、能の一節を舞い、謡うことになっている草刈正雄さんが、一月かけて練習を していた。今日はその最終日。指導の先生と手塚監督の前で草刈さんの謡いを録音 する。この唄を、新潟の撮影現場で再生して、それに合せ草刈さんとスタントマン がお芝居することになる。草刈さんは日本舞踊は経験があるとはいえ、能は始めて。 しかし、自ら練習回数を増やして欲しいと希望するほど熱心に。最後には先生の方 から、もう練習の必要なしとのお達しが出るほどの上達ぶり。
そして、夜。ライティングの合間を縫って1シーンだけ撮影。撮影前に助監督が、 某TV局の音楽番組を取材。その時の資料を元に作られたTV局のスタジオセット。 『撮影中にも拘らず、若いタレントにちょっかいを出し、飲み食いしている局のお 偉いさんや軍人』の撮影。
“VIP席”と名付けられたそのセットは、スタジオの一角に作られ、絵コンテ上で は10秒ほどの2カット+αのシーン。これならセット準備に支障を来さず撮影で きるし、予行練習としてもちょうどいい。
一番の練習はメイクに対して。19:30からの撮影なのだが、13:00から18人のメイ クを始めてもらう。食事時間も考え19:00に支度終了との逆算だったが、終わった のはぎりぎりの19:30。
撮影自体は、助監督は「1時間で終わるでしょう」と言い、監督は「もっと早かっ たりして」と言う。その手の発言にいい加減、疑いのまなざしの技術部・製作部も さすがに、今回ばかりは「終わるだろう1時間で…」。
これが油断の始まりだった。技術的セッティングはすぐ終わったのだが、監督が人 物と美術の配置に懲りだす。大木史郎さん、黒沼弘己さん、丹古母鬼馬二さん、川 村かおりさん、石上三登志さんらに加え、個性あふれるキャストが大半を占める。 そのため、演出もアドリブスタイルに。音楽をかけっぱなしにして、好きにお芝居 してもらい、それをカメラが撮影し続ける。しかも、時間的余裕のせいか、監督は いつまでもカットをかけず、フィルムはがらがら回りだす。スタッフの顔に「やば いかも……」という表情が浮かび始める。
結局2時間半、10:00頃撮影終了。スタッフの心に明日からの修羅場が予想され、 重い気持ちで帰路につく。



IE4(Mac)など一部ブラウザではメニューにあるDiaryをクリックしても制作日誌のタイトル一覧を表示できない場合があります。この場合はココをクリックしてください。


(C)Hakuchi Projects 1998