7月5日(日)

スモークの行方


これが問題の窓ガラス越しのスモーク
いかがでしょう?

7:30 銀河メイク開始
9:00 準備開始
9:30 リハーサル開始 S#102 銀河のプライベートルーム

銀河のパーティー2日目。
昨日とはうって変わって静まり返ったセット。今日の撮影は、伊沢と銀河の2人きりだ。 昨日華やかだったパーティー会場の飾りは、客が逃げ去った後の散らかった状態に汚さ れる。帝国に君臨していた女王が、自分の心の闇をあかして倒壊していく、橋本麗香の 4分近い長芝居と、聞いている伊沢の表情。長い下りだが、2人きりの芝居とあって、順 調な進行を予想していた。しかし…。
銀河の楽屋は設定上、超高層ビル巨大なメディアステーションの最上階。灯火管制中の 夜、なので、窓ガラスの外は真っ暗にしていた。ところが、撮影の藤沢さんが「窓の外 にスモークを流そう」と言い出した。 確かに、窓際にたつ銀河の背景が、黒一色では 絵にならない。スモークで薄く漂う雲というか、霧の感じをだそうという。セットっぽ さをごまかす意味でも、いいアイデアなのだが…。
スモークを作るには、スモークマシンという工具箱くらいの黒い箱の中で、特殊な油を 気化させて吹き出す。当然吹き出した後は風任せ、重さも軽いので上昇しつつ拡散して いく。 「んー、スモークは、もっとこう、下の方を這うようにゆっくりと流れるとい いね」と、再び藤沢さん。一瞬、「藤沢さん、それは…」という空気が広がる。セット を締め切り、誰も動かず風を止めて見る。しかし、ゆっくりとだが煙は上昇し、漂い広 がる。何度やっても巧くいかない。監督は微妙に目線をハズし、待ちの体勢になる。そ ういう時に発言するのが照明の安河内さんである。「うーん。煙が上に行くのは暖かい からだね。ライトの熱で上昇気流が出来るんだよ。てことは、地面を冷やせばいいんで すよね、藤沢さん。水、まいてさ。あ、氷とか、ドライアイスだよ、ドライアイス。ド ライアイスある?」あっという間に、ホースで水を引き、ドライアイス捜索隊が出発す る。ライトを消し、巨大なクーラーをがんがんかけて、床に氷とドライアイスをばらま く。すると、見事にスモークが空中で止まった!「今だ!」とカメラを回し撮影する。 「んー、もう1回」と、監督。またライトを消して、クーラーかけて…。 出だしのこの カットが撮れた時には、昼食の時間になっていた。橋本麗香さん自身、台詞や動きに関 しては全て頭の中に入れてきている。 しかし、銀河のクライマックスとあって、細かい 台詞のニュアンス、目配りなどに手塚監督の修正が入る。最後の部屋全体を撮した引き 絵を撮った頃にはやはり、22:00近くなっていた。 この夜、すぐに修正スケジュールを発表した。2日後のセット撮影の日の夜に1シーン撮 影すること、代わりに3日後の別セットでの撮影は午前中リハーサルのみで準備時間に あてること。 全シーン撮りきるためには、細切れの時間をやりくりするしか、方法は残されていなか った。



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(C)Hakuchi Projects 1998