6月27日(土)

未知の世界『メディアステーション』


12:00 セットチェック 監督・撮影・照明・特機・制作・演出部

ついに『メディアステーションのスタジオ撮影』が始まる。
明日からは、東映のセットいっぱいに組んだTV局のスタジオのシーンを撮影する。
朝から美術の追い込みと、照明機材の搬入。
たたみ2畳ほどの巨大な蛍光灯をつり上げ、多くのスポットライトを仕込む。
とても一日の仕込みでは終わりきらない。
監督含めメインスタッフで、セットの最終確認をしている間に、
助監督川村直紀くんが、次々と現れるキャストの衣裳あわせを仕切っている。
メディアステーションのキャスティングも、全て数えると50人近い人数になる。
しかも、エキストラは一切使わず、どんな端役でも、オーディションや、
俳優をキャスティング。
メイク・衣裳も作り込む。
膨大な支度時間がかかるため、一部の俳優やメイク部は泊まり込み体制を敷いているほど。
この作品は、大きく2つに分かれている。
新潟のオープンセットの路地と焼け跡を中心とした、
坂口安吾の原作に忠実な『戦争』のシーン。
もう一つはこれから撮影が行われる東映撮影所のセットを中心とした、
手塚監督のオリジナルな思いを込めて作られた『メディア』のシーン。
衣裳もメイクもキャスティングもまるで違う2つの世界をつなぐのが、
浅野忠信さん扮する伊沢。
そして、それぞれの世界を代表する女性が、甲田益也子さん扮する白痴のサヨと、
橋本麗香さん扮する小悪魔銀河。
少ない準備期間の中、路地と安吾の世界を作ることだけで精一杯だった我々は、
撮影しながらこの未知の『メディアステーション』の準備を進めてきた。
監督の頭の中にだけ存在する世界なだけに、全てのスタッフが不安と戸惑いの中、
手探りで準備をしてきた為、今に至っても果たして正しい準備が出来ているのかは、
監督以外誰も確証がないままだ。
とにかく明日の撮影に向けて、がむしゃらにセットの準備を進める。



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