6月23日(火) 雨のち曇り

メディアステーション2つの難題


07:20S#13 未亡人の家の外観 撮影部隊ロビー出発
08:00S#76&98メディアステーション・ランチルーム準備
09:30撮影開始
17:00終了予定

今日も雨。
未亡人の家の撮影現場前のひさしに、一列に並び、ぼーっと空を眺めるスタッフ。 しかし、雨は次第に強くなるばかり。明日は桐生のお祭りの日。なんと撮影場所の カメラ位置に出店が立ち並ぶという。 大事な大事なお祭りだという。だからお祭りをさけて2日間も早朝からやってきた のだが、桐生の天気は僕らの気持ちなどお 構いなしだった。 そして、そういうときに出てくる現場の一言。カメラマンの藤沢さんが「出店にど いてもらうしかないな」ぽつりと言う。 複雑な思いを胸に、ラインプロデューサーの梨木友徳氏と製作部の中村氏が、テキ 屋の親方に、交渉するために走っていった。
撮影隊は、ホールに戻り長芝居の撮影に。このくだり、実はお芝居以外にも2つの 難題があった。一つは給仕方法。 メディアステーションは、現代と未来とテクノロジーとオリエンタルが一体となっ たという美術プラン。 監督の狙いで、このランチルームでの飲食は全て飲茶スタイルになった。 そして、伊沢と野村が飲んでいるお茶は『八宝茶』準備段階で監督が「昔上海で見 たことがある」と言い出した『八宝茶』とは、 テーブルから離れた場所から、口の長い急須でお茶を湯飲みまでとばすという入れ 方。 助監督が横浜中華街から中国大使館まで調べ回ったが、入手できた情報は、「かつ てジュディ・オングさんのお店で見たことが ある」というくらいだった。 しかし、地道な調査を続けた結果、ある中国帰りの方が、確かに上海で目撃し、感 心して、写真を撮り、その急須を持ち帰って きたという情報を入手した。 『八宝茶』自体はお茶の種類で、いろんな花や果物の実をお茶にした、健康茶であ った。スタッフの何人かは美味しいと言って いた。 その旅行帰りの方からの証言と写真を元にして、入れ方を研究。更にオーデション で選ばれたウェイトレス役の高杉育子さんに、 道具を持ち帰ってもらい撮影までの3週間の間、日夜練習してもらった。 一週間前に撮影所で、途中経過をテスト。3回に1回の確率。どうしても注ぎ始め に狙いが定まらず、お湯を辺りにまき散らし てしまう。 本番で失敗すると浅野さんに熱湯がかかることに…。撮影の合間に、おもしろそう に見ていた浅野さんご本人も、チャレンジ。 見事湯飲みの周りを水浸し。 2つ目の難題はメディアステーションの人々。これは地元桐生市の方々が、エキス トラとして参加してくれたのだが、その扮装 は前述にあるようにテクノロジーとオリエンタルが一体となったというコンセプト。 今回ファッション界から参加してくれた、メイク部の小林・勇見コンビが、桐生市 のボランティア参加のメイク部隊を指揮して 、早朝から5時間近くかけて作り上げた。 まるで、フェリーニの映画に出てくるような扮装は、エキストラというよりは美術 品のようなスタイル。 作る方も大変だったが、そんなメイクをされる方も大変だったと思う。桐生市のみ なさんありがとうございました。

そんな難題がありながら、撮影はものすごくスムーズに運んだ。危惧されたお茶を 入れるくだりも、高杉さんは優雅に素早く正 確に成功。 仮装行列になってしまうかもと思われた、エキストラの人たちも、奇妙に不思議で おもしろく見える。 そして、肝心の浅野・荒井両人の芝居も見事にOK!。巨大なブルーバックを絡めた 合成カットも、東京からデジタル合成の古賀 さん見守る中、問題なく撮影終了。 その勢いで、機材を積み込み、『未亡人の家』前に急行。すったもんだのうちに無 事撮影できてしまう。
この組始まって以来の機動力にいい気分になり、またまた町に繰り出すスタッフ。 これだけのんびりできて、宿泊先の『きのこ会館』でも美味しい夕食を出してもら ったり、楽しい桐生の夜は更けていきました。



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