6月18日(木)

雷の気持ち


「腕と足だけ浮かび上がっているサヨ」を撮る準備

09:00開始 S#104 & S#108 & S#96 & S#72-7 & S#61 伊沢の部屋
23:00撮影終了予定

『伊沢の部屋』セット分の撮影時間は、残り3日。
幻想的な仕掛けや、複雑なカメラのカットが残っている。 今日の撮影分のS#108とS#96は同じ構図なのだが、S#108は夕景、S#96は夜の設定である。 しかもS#96の押入の中のサヨは『腕と足だけ浮かび上がっている』という表現。 ワンカット撮影するごとに、美術部がセットに駆け上がり、あっちの壁をはずし、こっちの壁をはずし。 照明部がよってたかって、違う時間帯の明かりを作り上げる。 撮影はカット数が少なくても、セットアップがバラバラであれば、より時間がかかる。 美術部・照明部ともに、運動会のような慌ただしさだった。
またもや照明の直しがすんで、S#72に入ったのは夕食後であった。 さすがにもう残り日数がなかったため、24:00終了めどで撮影続行。 撮影は、例のごとく深夜まで及ぶ。『廊下の窓から外をのぞく伊沢』本日の最終カット。 ライティングも終わり、最後の仕掛けが出来れば本番。窓に当たっている雷の光と、雨だれを作る。 雨を降らすには、カメラに写らない位置よりホースで水をまく。 特殊な仕掛け大好き助監督の山本透君が、自らホースを握るのだが、稲妻の明かりを邪魔してしまい位置が決まらない。
時間だけが過ぎていき、スタッフにいらいらが募り出す中、突然照明技師の安河内氏が、ライトをはずし出す。 照明部の助手が、慌てふためき抗議をするが、「いいんだよ。こんなライトすぐ準備できるから。はい、山本君好きなところから雨降らして」。 むすっとしている助手さんに。「雷はね。単調じゃだめだめ。」怒った助手さんが「じゃこのタイミングでいいですか!」と怒鳴ると「うーん。 雷の気持ちになることが大事だね。」周りのスタッフはそのやりとりを聞いて大爆笑。 浅野さんもおもわず笑ってました。結局大笑いに包まれて、深夜24:00終了。
このころには安河内氏は東映に泊まり込み。



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