6月16日(火)

即席撮影部隊


09:00開始 S#89&S#101 伊沢の部屋
12:00CGテスト撮影 3スタジオ 古賀班 澤井班
19:00終了予定

いよいよ撮影は佳境に入ってきた。『シナリオ作りに息詰まった伊沢が嫌がるサヨを、 8mmカメラで無理矢理映そうとする』シーン。 4畳半の室内を追いかけっこする2人を追うため、2面の壁が取り外され、クレーンを 入れて、テストが何度も何度も繰り返された。
一方、今日は即席の別撮影隊が組織された。クライマックスの大空襲シーンと、手塚監 督の映像イメージを再現するため、この映画ではデジタル合成・CGカットなどが多用 された。 そのためのテスト撮影部隊。空襲シーンと特殊なイメージを受け持つ古賀班と、銀河の 大ミュージカルシーンと巨大な戦闘機をフルCGで作る澤井班。 日頃現場には来ないスタッフが続々と別スタジオに集まってくる。演出部からはチーフ の僕、撮影部からはフォースの中澤健介さんと、本隊と掛け持ちでチーフの安田さん。 照明部からは堀直之さん、という寄せ集め部隊。合成用のブルーやグリーンの背景をセ ットにつるし、銀河の代役の女優さんにステージ衣裳を着てもらい、勝手な芝居をつけ ながら、本隊と関係ない気楽さから、本隊現場では見られない、和気あいあいの撮影で した。 今は昔と違い、日本でも合成の多くがデジタル化している。一度フィルムで撮影、現像 したネガを、コンピュータで読みとる。そのデータをコンピューターの中で合成して、 もう一度コンピューターのデジタル信号からフィルムに、一コマ一コマ焼き付けていく。 だから、合成自体の質も大事だが、その前後のデジタル変換のクオリティが、出来上が りの本当っぽさを左右する。 フィルムをデジタルに変換することをスキャニング、デジタル信号をフィルムに焼き付 けることをレコーディングと言う。 まあ、結果はビデオに関してはクオリティ以前にカット数が多くて、予算的にビデオを 使わざるをえない、という結論が先にでてしまい、テスト撮影はしたけれど、合成テス トはしなかった。 ブルーのシートとグリーンのシートはどっちも同じくらいきれいに仕上がるということ。 なんだかなー。でも、そういう幾多の苦労の末、日本のSFX技術も進歩していくのだろう。
一方の本隊撮影は、緊張の連続。夜中までかかり『窓外の月』を撮り残し、タクシー送り で家路に。



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(C)Hakuchi Projects 1998