6月8日(月)

問題のS#4


これがスタディカムだ

08:30本隊出発
09:00S#4路地/S#23路地
15:00田浦海岸お掃除舞台出発
17:00撮影終了予定

S#4というシーンがある。奇妙に傾き歪み細く曲がりくねった路地を、カメラが高見から回転しながら下がってきて、 路地の奥の仕立屋まで、約50mを1カットで移動するというカット。 この路地は、その構造上、レールを入れることもクレーンを入れることもできない。 よって、このカットを実現するために、監督・撮影・特機・美術・助監督・照明・プロデューサー等々様々な知恵を 振り絞り、実験を繰り返し、そして次々に崩れ去っていった。 『カメラマンをクレーンで吊る』、『地面を途中からつり上げる』、はては『カメラマンに気球をつけて飛ばす』、等。 最終的にはステディカムカメラを持ったカメラマンが、クレーンから降りてきて歩き移動、というシンプルなものに。 しかし、問題はそれだけではない。撮影初日から苦労している、絵のトーンの問題。直射が当たらず、フラットな照明。 今まではシルク幕で太陽光線を遮っていたが、このカットは空が映ってしまうため上空にシルク幕を張ることができない。 天候が曇りなら何の問題もなく、すぐに撮影できるのだが、もし晴れていたら、一番陽が当たりにくい12:00〜13:00の間を狙う。 そのため曇りなら10:30に撮れるように、晴れてたら12:00俳優スタンバイと言う両建てのスケジュールを作る。 そういう日に限りものすごく気持ちの良い晴天に恵まれる。ライティングは一切なし。 という当初の予定も崩れ、ライティングしたり、エキストラやカメラのタイミングあわせだけで1時間くらいかかり、 ちょうど良い時間に終わる。 それからが大変。翌日は5月30日に雨のため延期した『S#130早朝の海』を撮影するため夜中の2時出発。 そのため17:00終了するための予定を立てていたけれど、路地のあちこちの情景を撮るため、機材移動セッティングなど、 時間が大変読みにくい。 シルク幕は一切張らない予定だったが、あまりの晴天のため、急遽シルク張りがでたり、ステディカムがあるのをいいことに、 スケジュールにないカットを撮影し始めたりで、再び予定が狂い始める。 結局時間のことを説明して何とか18:00近辺で撮影を終わる。 それから照明部の積み込みが始まる。これも大変なことで、運ぶ機材の量が多く、車両の制限もあって、常に大量の積み下し する照明部の時間が、ロケーション移動に響いてくる。この日も照明部は大変であった。



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(C)Hakuchi Projects 1998