7月1日(水)

撮影やりくり指南


9:30S#69銀河のプライベートルームリハーサル
11:0010st銀河の楽屋仕込み
7stスタジオセット替え
松之山ロケ・木枯し邸内部美術確認
荒野ロケハン打ち合わせ
撮影部のみ S#84押入れ 35mm 8mm再撮

銀河の登場パートは3つに別れる。
1つは今まで撮影していたダンスパート。メディアステーションのTVスタジオセットのうち、 大人数の群舞が出来るように、舞台部分を大きく作ったもの。 2つ目は、TVスタジオフロアパート。TVスタジオのお芝居を撮影しやすいように、舞台部分を 縮小して、作り物のカメラや、ブースを作り足す。 そして3つ目がこれから撮影しようとしている、銀河の楽屋パート。
セット撮影では、この3つのセットを効率良く建て込んで、準備・撮影のスケジュールを組み 立てなければならない。 「白痴」では、東映撮影所の7stと10stの2つのスタジオを使ってやり繰りした。 先ず10stに『伊沢の部屋』を建てて撮影する。その間7stで、ダンスパートの為の『舞台』の 建て込み。 さらに桐生ロケを挟んで、完成した『舞台』のセットでダンスを撮影。その間に10stの『伊沢 の部屋』を壊して、『銀河の楽屋』を建てる。 その撮影中に7stの『ダンスパート』のセットの舞台を縮小し、フロアを付け足す。ややこし い…。
今日はスタジオ移動日。『銀河の楽屋』の準備だ。完成したセットを前にして、装飾、ライテ ィング、撮影中外す壁の位置、等をメインスタッフで確認。 細かい修正を指示する。その後、7stから、昨日まで使っていたライト・撮影機材を運び込み、 基本のライティングを作り込む。 撮影日数短縮のため、『銀河の楽屋』は6日間、撮影実数4日で終わらせなければならない。 しかも、銀河の最大の芝居場が続く。映画初出演のため、手塚監督のマンツーマントレーニン グを受けてきた橋本麗香さんだが、念には念を入れるため、照明部のセッティングを待っても らい朝からリハーサルを行う。 スタッフの不安をよそに、麗香さんは完璧にセリフと動作を頭に入れてきた。 カメラマンとカット割りの確認をしつつ、7ページにわたる長芝居(麗香さんは6ページしゃ べりっぱなし)を繰り返す。
芝居中、銀河が伊沢を押し倒すくだりがある。こういった場面にも専門家の手が入る。 アクションコーディネーターの齋藤英雄氏が、女性が男性を無理なく押し倒し、なおかつ銀河 の精神的迫力を出すという、言葉に書くとややこしいが、一瞬のしぐさを振り付ける。
その後、銀河の化粧台廻りの宝石や写真類と行った細かい飾りの位置決めをして、リハーサル 終了。 ちなみにその写真の多くは手塚監督のコレクションを使いました。
映画の場合、先のセット準備のように、撮影期間中でも次々先行準備がある。 手塚組の美術・製作・スケジュールの準備班は、この時点ですでに2週間後のロケ地である新潟 県・松之山町の準備に入る。 『大棟山美術博物館』という古い日本家屋を『木枯しの家』に飾り直すため、採寸や飾りの入れ 替え(安吾の博物館のため、全ての展示品を運び出し、映画のための飾り道具を運び込む)の手 配をしに、明日から新潟へ飛ぶ。 その前打ち合わせとして、監督・カメラマンと写真を元にカメラアングル、飾る場所の打ち合わ せ。しかし手塚監督は時間を無駄にするのが大嫌い。 すでに何度か打ち合わせした内容だったため、会議はぎくしゃく。
そして遂に、『荒野』のシーンロケハン結果の打ち合わせ。足尾銅山で撮ったビデオを見せなが ら監督に説明をする。 「ここから先を見せないように撮れば、荒野に見えますよ」。結果は予想通り「ちょっと辛いで すね」。ところが予想外の展開!。 「苦労してここで撮るなら、富士山の方がいいです」。確かに近いけど……。『荒野』のシーン は、撮影時期が、真夏なのに草木も生えない見渡すかぎり何もない場所、と言うだけでなく、ち ょうどお盆。 日本最大の霊場である富士山は、観光客でごった返していることだろう。やはり九州阿蘇山まで 行くしかないのか!というところで、会議はお開き。



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