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|  Gothic |  
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陰鬱なものって、つい魅かれてしまう。夜の墓場とか、廃墟とか。 あまりグロテスクがすぎるといやだけど、美しさと怖さの中間くらいの微妙な感覚がいいのかも。
 ポーの原作を映画化した『アッシャー家の末裔』というサイレント映画があって、このあたりがゴシック映画としては原点かもしれない。
 暗い廊下にカーテンが風にはためいている映像はうっとりするほど美しコワかった。
 ロリータとゴシックが合わさってゴス・ロリというファッションになっているけど、けっこう興味ある。
 さすがに自分では着ないけど。
 ロックではもともとパンクの流れから、スージー・アンド・バンシーズやニナ・ハーゲン、バウハウスあたりのスタイルがそうだと想う。
 80年代はクラブに行くと、けっこうそんなファッションの子たちがいっぱいいて、楽しかった。
 どうも怖い物語や不気味な物事、爬虫類とか虫とか、人にあまり好かれないものはつい気に留めてしまう。
 きっとそれらが嫌われるのは、そこから眼を背ける理由があるからで、実は大事な秘密を隠しているのではないかな。
 メランコリー、狂気、変態性、不条理。生命のアナザー・サイドに秘められたもの。
 それを悪とするか否かはその人次第、ぼくはポジティブに純化して捕らえています。
 それが世界を支えるもうひとつのエネルギーと想うから。
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|  Greatwhite |  
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『JAWS』を観て以来、サメに夢中になりました。当時、中学生。よくよくヘンなものに興味を持つ子供ですね。
 ホオジロザメ(GreatwhiteShark)は文字通りの人食いザメ。一番獰猛な奴らしい。
 でかいのは10メートル以上にもなるそうです。
 サメもあんがい研究されていない、というか生態が解明されていない生き物。
 平均寿命も、どうやって生きているかも謎のまま。とてつもなく古くから地球にいるのにね。
 実はすごく頭いいんじゃないかな。特にホオジロザメは飼育できないらしい。
 人の手からなかなか食べ物を受け付けないそうです。
 しかも彼らは、お腹が空いていなくても人を襲います。
 オイ人間、ふざけんなよ、って態度がいいですね。堂々とした自然で。
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|  Hell House |  
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初恋のように一生愛し続ける映画。もちろんラブ・ストーリーなんかじゃない。いや、ぼくにとってはラブ・ストーリーなんだけど。
 美しい霊媒の女性が、亡霊に恋い焦がれてしまう。 彼女がレイプされてしまうところとか、ドキドキしてました。
 原作はリチャード・マティソンの長編『地獄の家』。
 超心理学と先端物理学の責めぎあいがスリリングで、人の心と電磁波動や物理現象の関係とか、ちょっと早すぎた未来的な内容だと想う。
 ぼくにとって永遠のバイブル。
 映画の方は人には薦めにくいけど、ジョン・ハフ監督のストイックな演出が巧く効いていて、ぼくには堪らない。
 “これだ!”って感じ。何百回でも観れる。
 この映画について語り出したらちょっと長いので、ここでは止めておきます。
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|  I .L . |  
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手塚治虫の漫画はどれも好きではあるけど、リアル・タイムで好きだったのは、アトムでもブラック・ジャックでもなくて、もっと大人向けに描かれた作品。『地球を呑む』『ペックス万才』『ばるぼら』『奇子』・・・。
 ぼくはませていたから、まだ子供だったけれど十分ハマっていた。
 本人はその頃の作品は時代を反映して暗くて、好きじゃないって言っていたけれど。
 『人間昆虫記』なんて、ヘタな映画よりずっと面白い、スゴイですよ。ホント感心しながら、けっこう感動していた。
 女性をこんなに描けた漫画は稀だと想う。
 あと個人的に好きなのは『I.L.』。これは最初のページからアヴァンギャルドで、好み。
 ちょっと『チャーリーズ・エンジェル』っぽい展開になったけど、基本的にはスリラーで、かなり異常でヘンタイな内容多し。
 ヒロインがとてもセクシーなのもイケます。これもいつか映像化してやる…。
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|  Jung |  
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もともと空飛ぶ円盤に興味はあったんですね。それで『未知との遭遇』にはえらく感激したので、そのオマージュとして高校生の時に『UNK』という8mm映画を作ったんです。
 スピルバーグも学生の頃に空飛ぶ円盤の8mm映画を作ったそうだし。
 UNKというのは、『未知との遭遇』の中でレーダーに映し出されていた記号から取ったんです。
 UFOというより気が利いている、と想ったので。ところが皆は“ユーエヌケー”とは読まずに“ユンク”と呼んだ。
 その後、本屋に入ったらユングという人の書いた『空飛ぶ円盤』という本があって、読んでみたらびっくり。
 ぼくが『UNK』で未熟なりにもやりたかった心の奥に潜むイメージについて、きちんと説明された本でした。
 これこそユングの提唱するシンクロニシティ(意味のある偶然の一致)。
 以来、ぼくはこのクールな心理学者をずっと敬愛しています。フロイトよりも、ずっとずっと。
 彼は画才にも長けていたんですよ。
 TZKの映画を読み解くヒントは、すべてユングの著作の中にあると想います。
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|  Kuhn |  
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ジャズ・ピアニストで誰が好きかと尋ねられれば、スティーブ・キューン。バップ時代にデビューして、スタン・ゲッツやコルトレーンのところで弾いていた筋金入り。
 ビル・エバンス以降に注目されていたにもかかわらずピアノ・ブームの前にアメリカを去って、ヨーロッパでセンシティブでアヴァンギャルドなタッチを磨いた。
 ECMに録音されたアルバムは誰にも真似のできないストイックで耽美な世界を創造している。
 うまいというより、独特な人。
 最近はまたバップ調に戻って日本でも人気が出てきたみたいだけど、鉱物質な独特のタッチは変わらない。
 トリオでスタンダード曲の演奏が多いけど、ぼくは彼のオリジナルをソロで弾いたものが好きだな。
 やっぱりECMの音が好きだし、個人的なベスト・アルバムは『ECSTACY』。
 疲れたとき、必ずこれを聴きます。
 アルバム・ジャケットにサインをもらったとき、当人は戸惑った顔をしていたから、どう想っているか知らないけれど。
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|  Leo |  
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ぼくが8月生まれの獅子座というのはでき過ぎ?だから髪が白いわけじゃないけど。
 生まれたホロスコープを調べると、獅子座のところに太陽も月も、あらゆる星が集まっている。
 見る人が見れば、きっと、とんでもない。
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|  Model |  
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ぼくの作品にはファッション・モデルがよく登場するけれど、もちろんモデルは好き。ルックス、姿勢、表現力、様々な理由で。
 ファッション誌を見るのも好きなんです。
 モデルだけじゃなくて、モード感とか、写真の演出も好き。
 サラ・ムーンやデボラ・ターバビル、ヘルムート・ニュートンなんかの、ちょっと退廃したテイストが好み。
 パオロ・ロベルシとか。
 特にお気に入りのスーパーモデルはポーリーナ・ポリツコヴァでした。
 彼女が出た映画のビデオもあります。
 モデル出身の女優を見下す人がいるけど、偏見だと想う。
 海外ではモデルを経験した女優のほうが個性的で素敵。
 カトリーヌ・ドヌーブ、ジャクリーン・ビセット、アンナ・カリーナ、ジェーン・バーキン、イザベル・アジャーニ、 ペネロペ・クルツなどなど・・・。
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|  Modern Art |  
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いまなら“コンテンポラリー・アート”って呼ぶと想うんだけど、あえて“モダン”ていう響きが好き。映画はいつでもモダン・アートだと想う。
 絵画はダリあたりから好きになって、けっきょくシュールレアリズムで一番好きなのはエルンストかな。
 彼は才能があり過ぎて、ひとつのスタイルに収まらなかった。
 コラージュやデクパージュなんて技法も生み出したし、彫刻も本質的ですごくいい。
 しかも奥さんも才能があるアーティスト夫婦で、愛妻家らしくて、そんな人柄もいいな、と。
 彼の『雨後のヨーロッパ』という絵は、映画『白痴』をイメージするときのひとつのシンボルでした。
 美術はボイス以降、だんだん表現が広がってきて把握しにくいものになったけれど、けっきょくのところ方法論はどうであれ、古典的なスタイルでも十分新しいものは生み出せると想う。
 ところで、現代美術、現代音楽、現代建築… そう呼ぶのが良いかどうかは別として、 なぜ現代映画って呼ばれないのでしょう。
 たぶんぼくはコンテンポラリー・シネマでありたいと想っているのだけど。
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|  Monster |  
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子供の頃から、映像の怪物たちがぼくの友達でした。ゴジラや「ウルトラQ」の怪獣はもちろん、 フランケンシュタインの怪物やドラキュラ、狼男、ミイラ男・・・。
 怖いより、ワクワク興奮させてくれた。
 TVで『ショック!』という番組をやっていて、ユニバーサルのモンスターものなんかをよく放送していたんです。
 中学の頃に愛読していたのはフォレスト・アッカーマンの『FAMOUS MONSTER OF FILMLAND』誌。
 英語読めなかったけど、“horror”とか“weird”とか、単語を必死に覚えた。
 異形のものに対する怖れと憧れ。この世にあってこの世にない、両者の狭間に生きるものは素敵だ。
 恐龍やエキゾチック・アニマルなんかもそう。昆虫なんかも、よく見てみると素晴らしい形で生きている。
 人間の尺度が通じない、そこが魅力的なのかな。この世を超えた存在だから。
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|  Monty Python |  
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もしTVでモンティ・パイソンを観ていなかったら、人生は変わっていたかもしれない。そのくらい衝撃的な番組でした。
 世の中を馬鹿にしつくした過激な笑い。なんでもやったもん勝ちだ、とそのとき想いましたね。
 勇気が沸いたというか…。
 John Cleeseの『フォルティ・タワーズ(「Mr.チョンボ危機乱発」)』はもっとも繰り返し観たビデオです。
 ちなみに岡野玲子と最初に意気投合したのはモンティ・パイソンの話題でした。
 コメディは大好き。特にイギリスのそれは、どこかブラックなテイストが効いていて、好みに合うんです。
 それに関しては笑えなくてもいい感じ。
 『007/カジノロワイアル』とか『マジック・クリスチャン』とか『ラブド・ワン』とか。
 やり過ぎなところがいいのかも。
 そういう映画、ぼくもやってみたいと想うんだけど、無理かもしれない。
 なぜなら、僕自身はあまりにポジティブで、世の中を馬鹿にできないから。
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|  Neontetra |  
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小さくてもきれいでタフな熱帯魚の名前。仕事場にたくさんいます。だけど、これを事務所の名前にしたのには秘密があるんです。
 本当は以前に考えた映画の題名だったんです。
 「ネオンテトラ」というモデル・クラブが世界征服を企む、というとんでもないホラー・アクション。
 あまりに大作だったので実現不可能の企画になってしまった。
 なんとなくその響きが気に入って、会社の名前にしてしまったんですが、今やホントにモデル事務所になりつつある。
 恐ろしいものだ・・・。
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|  Noise |  
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生まれてから最初に気に入ったレコードが効果音全集だったから、もともとノイズに興味があったんでしょう。効果音てイメージをかきたてるでしょ?
 80年代はヨーロッパのテクノ・ミュージックを聴いてたんですが、だんだんノイズ・ミュージックを聴くようになっちゃった。
 スロビング・グリッスルとかSPKとか。
 サイキックTVやノイバウテンは日本公演も聴きに行ったけど、 ちょっとおとなしいステージだったっけ。
 ドイツのノイズ・アーティスト(ディー・トードリッヒ・ドリスとか)の映像作品を観る機会があって、
 それはかなり笑えたし、刺激になった。だっていい加減なんだもの。
 こんなに大胆でいいのか、と想って、以来ぼくの作品も大胆にノイジーな部分が増えてしまった気がする。
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